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2017.03.23

先週末、韓国映画『お嬢さん』と『哭声 コクソン』を観た。
両方とも一度観た位では全てを受け止め切れなかった様な感覚があるのだけれど、とは言えこの二本がヒットしている韓国の凄みたるや。
韓国のエンターテイメントは自国のマーケットだけでは市場規模が小さいので、国家の産業として世界をターゲットにしていると言われるが、こんな歪な作品群もそこから出てくるというのが本当に凄い(ハリウッド映画をただ真似するのではなく、そこには無い魅力としての歪さをきっちり認識している所に心底関心してしまう)。
 
『お嬢さん』は、奇しくもロマンポルノリブートと同タイミングで観れることもあってか、その変態性の飛びっぷりと、余りにも潤沢な予算で作られたであろう一目でわかる映像の力に圧倒されてしまった(ロマンポルノリブート作品は白石和彌監督『牝猫たち』と園子温監督『アンチポルノ』しか観れていないが、こちらは決められた予算やフォーマット、作り方のルールがあるからこそ、作家性が浮き上がり、またロマンポルノの日本映画にとっての意義などにも意識させられる面もあり、こちらも非常に面白い)。
そして、三部構成で語られる『羅生門』的物語運びも非常にスリリングで、ラストの爽快感も含め非常に面白かったのだけれど、片言の日本語と字幕の切り替えのテンポに慣れない感覚もあったので、そういう意味でもう一度観直したい。
『哭声 コクソン』も映像の力が凄く、ストーリーもトーンも予想しない方へどんどん転がっていく様が非常に面白く、特に土着的な悪魔払いの儀式以降グッと引き込まれる様な感覚があったのだけれど、冒頭に聖書からの引用があることからも、キリスト教のことをもっと知ってから観るとまた全然違った様にみえてくるかなあとも思ってしまった(聖書からの引用のモチーフがほとんど分かっていないことから混乱してしまった部分も少なくなかったので)。
とはいえ、國村隼の演技は本当に凄まじかったし、鑑賞後に解説などに触れると混乱した部分も腑に落ち、やはりこちらももう一度観直したくなった。
繰り返す様だが、どちらも最初に述べた様にその凄さの一片を感じながらも一度では受け止めきれなかった感覚があるからこそ、非常に印象に残る映画だった。
そして、EGO-WRAPPIN'、STRUGGLE FOR PRIDEtofubeatscero、THEクルマが出演するCHOICEの4周年記念ライブを味園ユニバースで観た。
味園ユニバースでライブを観るのは3回目だけれど、やっぱりこの会場は非常に魅力的だ。
昭和レトロなビルの外観も素敵だが、キャバレーの内装をそのまま使用し、至る所に球体を模した照明やシャンデリアがあり、ステージのバックには煌めくばかりのネオンが施され、ライブ中の照明としても使用され、その雰囲気はなかなか他の会場では味わえない(この会場を舞台にした映画『味園ユニバース』は良い映画だったけれど、この会場の素晴らしさの全てを映しきれていない点は結構な不満点だった位の素晴らしさだ)。
個人的には関西のライブ会場の中では磔磔と並んで特に好きな会場だ。
 
今回のライブではcerotofubeatsSTRUGGLE FOR PRIDEが特に良かった。
ceroは観る度に良くなるというか『Obscure Ride』の曲は如実にライブによって骨格がしっかりとしていき、贅肉がどんどん削がれている様な感覚で、「街の報せ」での最新のグルーヴにもしっくりきていたので、次のアルバムが非常に楽しみだ。
tofubeatsはキラーチューンと新曲の連発で非常に楽しく、特に「Shoppingmall」の後にKOHHの曲を繋げて流していたのが格好良かった(「Shoppingmall」はtofubeatsなりのKOHHへの回答だと思っていたので、とても腑に落ちた感覚があると共に、どことなく去年の3周年記念ライブでの、tofubeatsceroの「Orphans」を流してその上に「水星」のバースを被せていたのを思い出す。そして去年の今頃も『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』で坂元裕二ドラマに夢中になっていたこともふと思い出した)。
そしてSTRUGGLE FOR PRIDEである。
cerotofubeatsからの流れは、フットボールアワー後藤が言う所の、高低差ありすぎて耳キーンなるわの現実版な訳なのだけれど、20分という短い時間ながらも、非常にタイトでノイジーな爆音でむちゃむちゃ格好良かった。
スピリチュアルなダンスやモッシュ、ダイバーも現れ、一瞬で空気感が変わったのもとても良かったし、その轟音とハードコアならではのストイックな姿勢に心底ヤられてしまった。
月曜日には『SING』の吹き替えを観た。
ユニバーサルのイルミネーションのアニメーションのカルチャーの取り入れ方は、ディスニー/ピクサーの欠点の無いところが欠点という様な隙の無さとは違い、軽薄さもありながらもちゃんとそのカルチャーならではのダイナミックさを再現しようとしているところが好きだ(特に60年代のロックンロールが大好きなので『ミニオンズ』は本当に楽しかった)。

2017.03.16

最近、1時間くらい時間があると、村上春樹の『騎士団長殺し』を読むか(やっと第2部の半分くらい笑 とは言えむちゃむちゃ面白いので、ちゃんと集中できる時にしか読みたくないのだ)、Netflixで『最高の離婚』を観返している。

最高の離婚』は第7話の尾野真千子瑛太に向けて書く手紙の回の所までなのだけれど、当時観ていた頃よりも瑛太演じる光生に感情移入できる様になっているのが、良いのか悪いのかよくわからない笑

とは言え、坂元裕二脚本の中でもトップクラスに好きなドラマなので(『それでも、生きてゆく』と『カルテット』を合わせた3本が個人的にはトップ3)、やはりむちゃむちゃ面白い。

最高の離婚Special 2014』以降音沙汰が無いけれど、またあの4人の今を見てみたい。

youtu.be

そして、『カルテット』第9話も素晴らしかった。

特に最後の演奏の前における4人のやり取りのエモさたるや。

カルテットを組んだ当初会話がことごとく噛み合わず、声を張ることすらできなかったはずの彼らが、これまで積み重ねてきた生活と会話によって、すっかり好きが溢れ出る関係性が築かれていることに(吉岡里帆とのあの不自然な好きのやり取りも非常に対比的で、彼女だって最初は4人とそう遠くない場所にいたはずだ)、ドラマならではの快楽を覚えた。

今まで何度も描かれてきた不可逆性を、遂に肯定する4人の美しさときたら。

今週が最終回でも良いくらいの美しい回だったけれど、来週の最終回で白黒付けるのは恐ろしいわけで、どんなにグレーな結末になったとしても、このドラマを追いかけた3ヶ月間は非常に充実していたなあと思うわけです。

youtu.be

 

先日は『モアナと伝説の海』を観た。

海を上を舞台にした『スターウォーズ』や『マッドマックス』、『ロードオブザリング』を思わせるような冒険活劇で、同じディズニー映画なら『ベイマックス』を観た時の様な感覚に近い。

水の表現はとにかく綺麗でそれだけでも見応えがあるのだけれど、最近のトレンドでもあるミュージカルもしっかり抑えており、非常にエンターテイメントとしてもしっかりとした出来で非常に面白かった。

 

それにしても、最近のディズニー映画は本当に凄い。

『インサイドヘッド』や『ズートピア』と言った欠点が無い所が欠点と言われる程の質の高い映画をコンスタントに作りながら(最早ディズニーとピクサーの3Dアニメは両方ジョンラセターが関わっている訳だし、その質においてもどちらが優位にあるとも言え無い程だ)、更にはルーカスフィルムとマーベルシネマティックユニバースも傘下に据えている訳だから(それ故に本作や『ベイマックス』の様なアクションエンタメ作の質をより引き上げている様に思う)、ディズニー映画が経済的にも好調なのも当然と言えるだろう(菊地成孔が『アナと雪の女王』を評した際、エンタメを全てかっさらっていくのがディズニーだと言っていたのも思い出される)。

youtu.be

 

ただ近所の映画館では吹替えしか上映されておらず(地方の映画館に通う僕としては最近字幕の上映が減ってきているのが目に見えて増えてきており、少し寂しい。英語圏の人たちの反応も洋画を観る上での楽しみの一つだったりする)、ドウェインジョンソンの歌を聴くことができなかったので、字幕でもう一度観たいくらいだ。

 

『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』も観た。

広瀬すず中条あやみは非常にスクリーン映えする美しさなので、どんどん映画に出てほしい。

2017.03.09

最近はドレスコーズの『平凡』とFutureの二枚のアルバムを繰り返し聴きながら、村上春樹の『騎士団長殺し』を少しずつ読み進めている(まだ第1部の300ページ程だがこれがむちゃむちゃ面白い!)。
そんな中、『ナイスガイズ』を観てきた。
『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』のムービウォッチメンでも言われていた様に、ポールトーマスアンダーソンの『ブギーナイツ』と『インヒアレントヴァイス』を混ぜ合わせた様な世界を舞台にバディ探偵ノアールコメディをやるという、同じLAを舞台にした『ラ・ラ・ランド』とは180度違う方向性の映画だ。
 
ライアンゴズリングには静かな狂気を描いた『ドライヴ』でのその男臭いハードボイルドさに心をガッツリ掴まれ、その後に観た『ブルーバレンタイン』での実在感のある演技に魅了され、『ラ・ラ・ランド』のチャームさにももちろんグッときていたのだけれど、この前のアカデミー賞時のライアンゴズリングの度を超えた愛嬌にはクラクラさせられてしまった。
 
そんな状態で観た『ナイスガイズ』の彼のノリノリっぷりは実に最高で、表情やセリフ、動き全てがツボにで全部笑えてしまう(特に逆トムクルーズと言える様な走り方は、『沈黙-サイレンス-』における窪塚洋介の名演も彷彿とさせる脱力具合だ)。
やたらと高い声で喚き立てる様や、酔っ払って高い所から落ちがちで、常にドタバタしている感じがどうしたって下らなくて笑ってしまうし、基本的にはロジックやプロフェッショナルな技術よりも運任せな所も非常に笑えるのだ笑
『ラ・ラ・ランド』でも大げさに驚く仕草はあったが、あの時以上に驚きやすく高い声で「ジーザス!」と叫ぶ仕草はついつい真似をしたくなる。
ただ、パンク警察的には77年、78年のLAを舞台にしているはずなのに、79年リリースのThe Clash『London Calling』のジャケットになる写真は存在しないことも指摘しておこう。実に時代検証が甘く、リアリティがないことだ(おっと、安い笑いを取りに行き過ぎた。以前にも書いた通り、アメリカでは80年代最高のアルバムとしても選ばれる位なのでそれ自体が笑いどころなのだと思うし、そして、コメディライクなこの話には関係のないことなので本当にどうでもいいことだ笑)。
そして、今週もまた『カルテット』が相当に面白かった。
8話目にして、再び主要4人のやりとりが増えたことで、これまで以上にそのやりとりの一つ一つが愛おしいく、これまでの7話までの出来事が積み重なり、すっかり限りなく家族に近い何かが形成されている様で実に微笑ましい。
 
それでいて、今回の満島ひかりの健気な行動は、ミッキーカーチスのセリフ「眩しいね!」という言葉に集約される様な素晴らしさだ(自分のことより好きな人をちょっとだけ思いやることがどんなに素敵なことか)。
だからこそ、『ラ・ラ・ランド』と同様に夢を見ていた満島ひかりの美しさと儚さがより一層強調される(他にも松たか子がピアノの弾くシーンの照明の具合や、高橋一生が柱に手を巻くシーンなど、どうしても『ラ・ラ・ランド』を彷彿させられた)。
 
とはいえ、またもや凄まじいクリフハンガーでエンディングが訪れた訳で、あと2話で終わってしまうのが非常に寂しいのだけれども、早く来週になってほしいくらいこのドラマがどの様に完結していくのかが楽しみで仕方がないのだ(吉岡里穂がサンドウィッチマン富沢に跨っていたシーンも非常に気になる笑)。