2017.03.04

アカデミー賞の各賞を振り返ると最多6部門受賞の『ラ・ラ・ランド』や、作品賞を取った『ムーンライト』(受賞による日本での公開日前倒しと劇場公開数の増加は本当にめでたい!そして助演男優賞をマハーシャラアリが受賞したことで『ハウスオブカード』のシーズン5がますます期待が大きくなる)、主演男優賞脚本賞というとても良い評価のされ方をした『マンチェスターバイザシー』、そして技術部門の多くを受賞した『ハクソーリッジ』など、賞が分散することで楽しみにしていた映画が更に楽しみになった。
とはいえ、アカデミー賞におけるライアンゴズリングの素晴らしさは一体全体どういうことなのでしょうか。
第89回アカデミー賞の中でも必ずや語り継がれるであろう作品賞の間違いは、『ラ・ラ・ランド』で描かれるラストが現実とシンクロする様でもあり実に映画的で(プレゼンターの二人がアメリカンニューシネマの先駆的作品である『俺たちに明日はない』のウォーレンベイティとフェイダナウェイであるからして、どんなアウトローなことが起こってしまってもどこまでも魅力的なわけで、更に批判で蜂の巣にされてしまうのも実にアメリカンニューシネマ的ではないか)、Mナイトシャマラン監督が「私があのラストを描いた」と言ってしまう程のどんでん返しであった。
 
その中で、あのほくそ笑むライアンゴズリングの魅力は何なのだろう。
直前の主演女優賞を受賞したエマストーンのスピーチを見守るライアンゴズリングの表情も素晴らしいのだが(あの表情を眺めていると同じ表情になっている自分に気がつく笑)、笑ってはいけない場面で笑ってしまうということはあるある中のあるあるだけれども、そのあるあるに適した表情があるとすればあの時のライアンゴズリングの表情は100点満点ではないでしょうか。
 
ニコラスウィンディングレフン監督作の『ドライヴ』ではむちゃむちゃ哀愁のある表情を披露し、そのハードボイルドさに魅了され、またある時はプレイボーイなハンサムさにも嫌味を感じさせないスマートさを感じたり、とはいえ今回の授賞式のどこか他人事の様に、かつ飄々としたあの佇まいには人をたらしめるものがたっぷりと詰まっていた様に思えるわけです。
そんな人たらしっぷりを同様に感じたのは最近観た『トリプルX:再起動』主演のヴィンディーゼルだ。
これぞハリウッド大作映画のアクションつるべ打ち的な作品なのだけれども、そういった作品が揶揄されがちな部分を全て真正面からやってのける姿勢が圧倒的に楽しいという方向に振り切れており、むちゃむちゃ面白かった!
ワイルドスピードスカイミッション』もシリーズ最高傑作と言い切れるほどの傑作だったのだが、長く続くシリーズ作品にはない手軽さがあるのも本作の魅力だ。
 
正直、過去作を観ないまま観てもむちゃくちゃ面白かったのだけれど、過去作を観直さなくちゃと思わされない感じも丁度良い笑
この映画を観て、ここ10年のシルヴェスタースタローンとトムクルーズがやってきたことと、同じくこの10年でマーベルシネマティックユニバースでやってきたことを、更に体験的で肉体的なエンターテイメントにしようとする姿勢は映画人としてのヴィンディーゼルの凄さをまじまじと感じさせられたのだけれど、それ以上にちょー楽しいその映画体験の前ではどうでもよくなる程だ。
ヴィンディーゼルが海の中から水上バイクで上がってくる様をまるでボンドガールを映す様に撮られていたり、そんなアクション映画ならではの愛おしさやケレン味、そういったものが満ち溢れていた。
 
アカデミー賞の時期はじっくり考えながら鑑賞する映画がどうしたって増えるけれど、そんなタイミングだからこそ、本作の良さが更に強調される様にも思う。
今のタイミングで頭を空っぽにして映画館で観るのがオススメです!